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【コラム】届かなかった想い 〜スペシャリストたちのドラマ〜

優勝候補もの(亀山)2

2013年、技のスペシャリストたちが競う全日本体操種目別選手権の舞台で、亀山耕平が用意してきたのはDスコア6.9。派遣標準得点の15.800を超え、優勝をするために準備してきた。高難度の技をいくつも入れ、それでもすみずみまで神経をいきわたらせたその演技は見るものを魅了した。
しかし下り技の直前、落下。-1.0の原点はあまりにも大きい。「悔しい。それだけ」演技後亀山は気持ちを隠すことはなかった。スポーツにおいてたられば、は禁句だが、攻めた結果だっただけに成功していれば、の気持ちが強くなる。

あん馬を苦手とする日本人選手において15.800を出すことは相当難しい。だがそれが不可能ではないことをいずれ亀山が証明してくれるだろう。

優勝候補もの(村上)2

村上茉愛が準備したのも世界でもトップレベルの演技構成だった。
難度の高い技を入れるだけではない。跳馬で見せたそれと同じように着地をピタリときめる。2本目の技は世界でも2つしかない、H難度のシリバス。これをピタリときめ優勝をほぼ手中に収めた、がしかしである。最後の技3回ひねりの着地で前に手をついてしまった。これで-1.0。演技を終えた村上の目からは悔し涙がこぼれた。村上もまた、気持ちを隠すことはなかった。「世界戦ではゆかで金メダルを取りたい」。その小さな体で世界を驚かせてみせる。

攻めるがゆえに体力的にもきつくなる終盤。どちらもあと1歩のところで優勝を逃した。自分がトップに立てるという自信があるからこそ、その悔しさは強くなる。だがこの経験が2人をさらに強くし、技術に磨きをかけることとなるだろう。世界選手権の切符は手にしている。さらに磨きをかけた技と演技で世界の舞台では笑顔を見せてもらいたい。

About chiharu

駆け出しスポーツライターとして某野球雑誌を中心に活躍中。大学時代に体操競技に携わり、それ以来、”体操愛”に目覚める。独自の人脈で”体操”に関する様々な情報を収集する。

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