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挑む理由 亀山耕平

2013年の世界選手権のあん馬で金メダルを獲得した亀山耕平(徳洲会体操クラブ)は、全日本体操個人総合選手権・予選で81.000の59位と決勝進出はならなかった。

その原因は腰痛だ。
大学4年時にぎっくり腰から始まったその痛みは、たびたび暴走する。
昨年の6月ころから、徐々に悪化していくその痛みは「ジャンプをするのも痛かった」と言うほどになっていた。
その腰痛は今大会への出場も危ぶまれたほどだ。

ケガを押しての出場は、選手生命をも脅かす危険を伴う。
ではなぜ出場を決めたのか――。

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世界選手権金メダリストの亀山は、種目別選手権への出場はすでに決定している。
スペシャリストとして生きる道を選んだのであれば、種目別一本に絞り出場しても誰も文句は言わないだろう。

しかし亀山は言う。
「オリンピックに出るにはあん馬だけじゃ足りない」

2013年の世界選手権で獲得したあん馬での金メダルは、日本人で2人目の快挙だ。
しかしその代償はあまりにも大きかった。
1年間のほぼ全てをあん馬の練習に費やしたその行為は、“6種目ができる選手”からは遠ざかっていった。
もちろんあん馬へ費やした時間はすべて、オリンピックへの出場を引き寄せるためなのだが。

全日本選手権への出場のために始めた6種目の練習。
ゆかと跳馬に触るのは、約8カ月ぶりだったという。
亀山の体、筋肉はあん馬仕様になり、その2種目がかける体への負担は想像以上だった。
6種目を通しての練習ができるようになったのは今大会の2週間前だ。

若い力も台頭してきている現在の体操界。
その状態での決勝進出は厳しい状況なのは明らかだ。
それでも前に進まなくてはいけない。

亀山にはこの大会に挑む理由がある。
「前に進むためには、いつも小さい壁にぶつかる。その壁を一つひとつ越えていかなくてはいけない。今回の痛みもその壁のひとつ。痛いから出ない、を繰り返していたらいつも小さい壁から逃げることになる。どこかでその壁を越えなければいけない」
それが今大会だった。

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今までだってそうだ。
挫折ならいくらだって経験してきた。
ケガや痛みはいつも伴うのだ。
だからこそ逃げずに、向き合い、戦う。
そうやって前に進んでいく。

全てはオリンピックへ出場するため。
「また期待に応えることはできなかったけど、6種目に出場するという最低限は達成できた」
悔しさをにじませ、そう話した。

不器用で、順調にはいかない亀山だからこそ、
悩み、苦しみ抜いた分、その演技には深みと美しさが出る。
そしてその評価は世界をも驚かす。

自分を超えるためには出なきゃいけない――。
そう語る亀山の演技が見られるのは、7月に行われる種目別選手権になるだろう。
じっくりと腰痛と向き合った今は、ほとんど痛みもないという。
ひと回り成長した亀山の演技を楽しみに待ちたい。

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About chiharu

駆け出しスポーツライターとして某野球雑誌を中心に活躍中。大学時代に体操競技に携わり、それ以来、”体操愛”に目覚める。独自の人脈で”体操”に関する様々な情報を収集する。

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