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試練 寺本明日香

順位のことを聞かれると、大粒の涙が頬をつたった。
寺本明日香(中京大学)は5月11日に行われた全日本体操個人総合選手権で55.450の2位となった。
オリンピックを経験し、その後の大会でも日本女子を引っ張る活躍、存在感を示してきた寺本は自信を持って今大会に臨んでいた。
「大会前から調子がよく、優勝を狙っていた」と話すように、10日に行われた予選では2位の笹田に0.6点の差をつけて1位通過。
それでも慢心はなかった。
女子の個人総合チャンピオンは2日目の成績で決定するからだ。
前年の同大会では、順位を意識しすぎたことで2日目にミスを連発し、4位となってしまった。だからこそ、予選終了後の会見では「明日も自分の演技ができるようにしたい」と話した。

ミスはなかった。
ただ、得点が伸びなかった。

 

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またしても笹田に敗れ、連覇を許すことに。
自身でも驚いたのは段違い平行棒での得点だ。
「緊張していてほとんど覚えていない」と話したが、技での目立ったミスはなく、着地まで決めた。
それにも関わらず、点数が伸びない。
終わってみれば4種目を通してノーミス。
だからこそ、悔しかった。

笹田との差はどこだったのかと聞かれると、言葉につまり、そして絞り出すように言った。
「なっちゃん(笹田)は1つ1つの技がキレイ。なっちゃんのような演技をしないといけない。練習するしかない」
ケガを乗り越え、多くの試合を経験し、自分のスタイルを確立してきた日本女子体操界の絶対的存在。
「自信があったからこそ、悔しい」。あふれる涙を隠すことはなかった。

だがもう涙は拭った。
この悔しさを晴らすには、日本で勝つしかない。
「高い難度の技を入れれば国際大会では得点が出るが、日本は出ない。丁寧な演技をしなければいけない」。世界で勝つことを見据え、世界を舞台に戦っているからこそ、見えなくなっていた。

日本で勝つむずかしさ、そしてライバルの存在。
世界で勝つために、次は必ず日本で優勝してみせる。

 

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About chiharu

駆け出しスポーツライターとして某野球雑誌を中心に活躍中。大学時代に体操競技に携わり、それ以来、”体操愛”に目覚める。独自の人脈で”体操”に関する様々な情報を収集する。

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