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飛躍の1年へ 山室光史

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5月11日に行われた全日本体操個人総合選手権で8位となった山室光史(KONAMI)は今、復帰への道を確実に歩んでいる。
2012年のロンドンオリンピックの団体決勝の跳馬で、左足甲を剥離骨折する大ケガを追い、約1年間をリハビリとトレーニングに費やした。昨年にはファンの前に姿を現したが、あん馬やつり輪の足を使わない種目のみでの出場、さらには着地も行わないなど、完治していないことは明らかだった。
昨年は試合に出場する予定ではなかったのだという。それでも、全日本選手権へ出場の望みがあったため、出場を決意。
しかし、それは痛みとの戦いでもあった。
「まだ結構痛みが残っていて、だましだましやっていた部分があった」と振り返る。
リハビリの意味も込め、できることを精一杯やった2013年。それは復帰への1年でもあった。12月に行われた豊田国際ではつり輪の演技を完璧にこなし、着地も決めるとその顔には笑顔がこぼれた。さらに跳馬ではドリッグスをピタリと決めると会場から拍手が沸き起こり、誰もが待ち望んだ山室光史の復活した姿がそこにはあった。_SK_3205

今大会の試合後、話をしていると気になることがあった。それを何の気なしに聞いてみた。「少しやせた?」すると意外な答えが返ってきた。
「今回ストレスで。肌荒れもしてしまって……」
全日本選手権という大きな大会で6種目に出場するのは、ケガ以降、初めてなのだ。さらに、演技構成は昨年よりも難度を上げたものにしている。
そのストレスと緊張は、本人が意識する以上に体にあらわれた。
「ようやくオールラウンダーとして2年ぶりくらいに戻ってきて、『よし、ちょっと戦おうかな』っていう試合だから、多分緊張しちゃって。(この肌荒れは)緊張とストレスだと思う」。と打ち明けてくれた。

それだけ、気持ちは強い。
山室は復帰の1年を経て、飛躍の1年へと歩み出しているのだ。

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跳馬やゆかでの着地に不安はないのかを尋ねると、「う~ん。怖さはまだあるけど、跳馬もちゃんと飛べてるしだいたい戻ってはきている。(恐怖心は)超えたかなって感じ」と話したが、それは今年に入ってからの話。
それでも全日本選手権ではロペスを跳んだ。

「去年は跳馬もずっと価値点を落としていた。それを今回からようやく戻せたので。種目別ではもう少し攻めようかなと思っています。つり輪はもう少し難度を上げるつもりですし、跳馬もできればもう半分ひねりたい」と、その目はすでに7月に行われる種目別決勝を見つめている。

だが、スペシャリストになる気はない。オールラウンダーとして、加藤凌平、野々村笙吾(ともに順天堂大学)に挑んでいく。
「個人総合で戦うということは捨てないで、今のベースでしばらくは固定しようかなと。その中で種目別決勝までに2つだけ徹底してやれば、(世界戦の代表も)どうにかなるかなって思うので、ほかを欲張らずに2か所だけ集中してやる」

NHK杯を経て、種目別選手権で勝負する。
世界選手権への切符を勝ち取り、復帰ではなく結果を残すシーズンへ。

オールラウンダーとして、次こそはオリンピックという大舞台で輝くために――。

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TEXT : CHIHARU ABE

About chiharu

駆け出しスポーツライターとして某野球雑誌を中心に活躍中。大学時代に体操競技に携わり、それ以来、”体操愛”に目覚める。独自の人脈で”体操”に関する様々な情報を収集する。

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