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【コラム】もし・・・内村航平が全日本種目別に出ていたら

スペシャリストがここぞとばかりに持てる技を出し尽くした全日本体操種目別選手権。ひたすらDスコアを追い求めつつも、同じ難度でも俺の技はひと味違うぜと言わんばかりの技が飛び交い、審判員はその採点に頭を悩まし続ける。

そんな演技に観客は魅了されたが、それでも中にはまだ不満が残るというファンもおられることだろう。そう、あの内村航平が参加していなかったのだ。

もしここに内村が出ていたら、そんな妄想をいだくのは体操ファンの得意とするところである。そんな妄想をこのコーナーではしたためてみようと思う。

なお内村の得点は今シーズンの全日本個人総合予選・決勝およびNHK杯個人総合予選・決勝から得点の高いものを原則として取り上げている。

03866まずは高校生の白井健三選手が派遣標準得点の15.900を出したゆかである。

内村の得点はNHK杯予選で出した15.800が今シーズンの最高得点。後方伸身宙返り3回半ひねりと前方宙返りひねりの連続で始まる、今シーズンの内村の標準的なゆかの構成でDスコア6.7、Eスコア9.1。種目別2位の早坂尚人選手は15.2なので、内村が出場していれば出来映えに多少のぶれはあっても2位は間違いないところだろう。

ゆかでのEスコア9.1は驚異的でこれ以上は望めないが、構成にはまだ余裕があると思われる。かかえ込みトーマス(D)を伸身トーマス(E)に替えれば同点の15.900、跳躍技以外の技でC難度のフェドルチェンコを行っているが、これをD難度の技に替えると16.000も考えられる。内村の優勝は十分に考えられる種目である。

次にあん馬、これは日体大の長谷川智将選手がG難度のブズナリを含めた高難度の演技構成で15.250を出している。一方、内村は全日本個人総合予選の15.050が最高得点。これは3位の小林研也選手と同点である。

内村はD難度中心の構成であり、他の種目と比較するとやや腰の引けた感のあるあん馬であるが、Eスコアの高さでそれをカバーし同率ながら3位以内は確保している。

次は力技を要求されるつり輪である。優勝は朝日生命の岡村康宏選手、得点は15.250。これに2位の田中和仁15.200、3位の小林研也15.150と続く。一方、内村は全日本個人総合決勝の15.100が最高得点だ。オールラウンダーとしてはバランス良く15点台を出しているものの、一発を狙うスペシャリストの中に入るとさすがに分が悪いようだ。

とはいえ、常に自分の体力と演技の出来映えのバランスを考えて抑え気味の構成を取ってくる内村は、ここにもDスコアを上げる余力は残していると見るのが妥当だ。力技の難度を上げるのは難しいにしても、一発勝負なら降りの新月面をかかえ込みから伸身にするなど攻めた構成を取ることでメダル争いには食い込んでくるだろう。

02622そして跳馬である。優勝は早稲田大学の小倉佳祐選手で、Dスコア6.0のロペスとヨー2を跳び15.100と15.000、得点は15.050となっている。一方の内村であるが、ここでは全日本個人総合予選と決勝でヨー2とシューフェルトを跳んでいるので、それを参考にしよう。ヨー2が15.400、シューフェルトが15.050で平均すると15.225となり内村の優勝となる。

シューフェルトはDスコア5.6だが、この技で内村は15.050を出しており、Eスコアは9.45となる。内村のシューフェルトは世界的にも神業と言われており、Eスコアが現実的な上限と言ってもいい得点となっている。他の技を含めてもこれ以上のEスコアが出る跳躍というのはまず考えられない。またヨーIIもEスコアは9.4とそれと変わらない高得点である。Eスコアに厳しい日本国内の大会だからということもあるが、他の選手が2本ともここまで高いEスコアを出すことは現状では考えにくく、しばらくは内村の天下が続くのではないだろうか。

スペシャリストが多い中、着実な演技でコナミの小林研也選手が優勝をかっさらっていった平行棒の優勝得点は15.550、2位の神本雄也が15.350、3位は植松鉱治の15.150となっている。内村は全日本個人総合決勝の15.300が最高得点となる。

このままでも3位であるが、モリスエをかかえ込み(D)から屈伸(E)にすると15.400となり2位、今シーズンから新しく取り入れたハラダ(D)を以前やっていた屈伸ベーレ(E)に替えれば15.500となり限りなく優勝に近づく。

もっとも今回はスペシャリストがことごとく失敗しての順位なので、波乱がなければ優勝ラインは15.800前後まで上がることも考えられ、内村としても油断はできない。

03841そして最後は内村得意の鉄棒だ。優勝はコナミの植松鉱治選手がやっと手にしている。得点も大会唯一の16点台である16.050をマーク。そして内村の最高得点は全日本個人総合決勝の15.900となる。Dスコア7.0の構成で、演技の途中で一瞬の停滞、コールマンの後の車輪での肘の曲がり、着地の一歩などの明確な減点があってこの得点であることを考えると、優勝は十分あり得る話ではある。

しかしながら植松選手も、離れ技で左右にぶれたところを強引に続けた実施であり、さらに予定していた離れ技3連続を温存しての16.050である。それを考えると、両者が目一杯の構成と目一杯のEスコアを出してきた時に、勝つのははたしてどちらであろうか。

学生時代には個人総合で内村を破っている植松選手、この2人ががっぷり四つに組み合って競い合うところをもう一度見てみたいと妄想するのである。

TEXT : MASARU “Taroken” MAEDA

About taroken

GymnasticsNews Radio Showのメインパーソナリティ、ライター。 学生時代に体操の選手の経験あり。体操ファン歴は中学生時代から。 静岡県体操協会男子3種審判資格あり。 ポッドキャスターとしては体操の他、Apple製品、IT関連、鉄道系の番組にも出演中。

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