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日本体操女子の裏テーマ

日本女子体操の世界選手権代表が笑顔で帰国した。

世界代表女子
リオ五輪出場権を土産に笑顔で帰国した世界代表女子

 

最大のテーマであるリオ五輪出場権を獲得し、団体でも5位と女子団体史上タイの好結果を残した。個人総合では当初はリザーブだった村上茉愛(日体大)が6位入賞とその実力を遺憾なく発揮した。

リオ五輪に向けて、まずは出場権を確保するのが日本女子体操の最優先の命題だったのはもちろんだが、その一方でもう一つのテーマがあった。それは宮川紗江(セインツ体操クラブ)の世界デビューである。

欧米と比較して体格的に劣る日本は、どうしても脚力が得点に影響する跳馬とゆかで不利となる。今回の世界選手権代表も、どちらかと言えば段違い平行棒や平均台で得点を稼ぎ、跳馬とゆかは取りこぼしなく食らいついていくというメンバー構成だ。

そんな中、日本が苦手とする跳馬とゆかで世界と戦えるのが、世界選手権初出場となった宮川である。

世界選手権前、宮川は「バイルズと戦いたい」と話している。跳馬ではバイルズのD6.3に迫るD6.2の大技を難なくこなし、ゆかではH難度2つに加えて世界でも数少ない前方系の連続技を実施、さらに最後に伸身ダブルというパワー溢れる高難度の構成を持つ。

日本では数少ない、Dで得点を叩き出せる選手なのだ。

しかし体操は採点競技である。採点規則に得点の算出方法が明記されているとはいえ、人間が採点する以上、印象や知名度が少なからず作用する。

2013年のアントワープ世界選手権種目別ゆかで、村上茉愛は4位となり惜しくもメダル獲得とはならなかった。

女子体操界で初のオリンピック6回出場を果たしたオクサナ・チュソビチナ(ウズベキスタン・朝日生命)はこの時こう語っている「私の目から見て、マイはメダルの価値がある演技をした」

世界選手権で知名度のない選手に高得点を出すには、審判側にも相当の思い切りが必要とされる。なぜなら審判の採点結果は、後日FIG(国際体操連盟)によりその正当性をビデオで検証されるためだ。

当時、村上は世界選手権初出場で審判団の間で知名度がなかった。それが得点に影響を与えた可能性は少なくない。

そんな村上も、今回は個人総合6位入賞という形で世界からその実力を認められた。

村上茉愛
6位という好結果にも満足せず「あと少しで5位だった。どうせならもう1つ順位を上げたかった」と語る村上茉愛

 

今回の世界選手権種目別ゆかで宮川は、得点が出にくい1人目という不利な演技順ながら、2年前の村上と同じ4位という結果を残した。と同時に世界中に「Sae Miyakawa」の名前を知らしめることに成功した。

これは同時に「日本は跳馬とゆかが苦手」というイメージも拭い去ったことだろう。

帰国会見で宮川はこう語っている「苦手な段違い平行棒や平均台の安定度を上げ、跳馬はさらに高難度の技を2本揃えたい」

以前にも増して高難度化が進んだ世界の女子体操界に、日本の宮川紗江が割って入る舞台、それがリオデジャネイロオリンピックである。

宮川紗江
苦手種目の克服とともに、難度アップでさらなる高得点を目指したいと語る宮川紗江

 

TEXT : Masaru “TAROKEN” Maeda

PHOTO:Atsushi Miyachi

About taroken

GymnasticsNews Radio Showのメインパーソナリティ、ライター。 学生時代に体操の選手の経験あり。体操ファン歴は中学生時代から。 静岡県体操協会男子3種審判資格あり。 ポッドキャスターとしては体操の他、Apple製品、IT関連、鉄道系の番組にも出演中。

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