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王者の風格 〜 クリスチャン・ベルキ

全ての観客と選手及び関係者、報道陣が見つめる中、王者ベルキは雄大な開脚スイングから演技を開始した。

 

ベルキのスイング
王者ベルキのあん馬は、技に入る前のスイング1つでもう「違い」がわかってしまう。

 

ベルキのセア倒立
片手が落ちてしまったが、セア倒立の姿勢も美しい。

 

最初のセア倒立で片手がポメルから落ちてしまったが、落ち着いて戻し、振り下ろして身体を回し始める。

 

ベルキ倒立からの振り下ろし
倒立から振り下ろした瞬間、腕に大きな負担がかかっているはずだが、それを全く感じさせない。

 

クリスチャン・ベルキは身長178cm。体操のトップ選手としては異例の体格ながら、2010年から2012年と2014年のオリンピック及び世界選手権で4度あん馬の金メダルに輝いている。

2015年の肩の手術後しばらくトップ戦線から離れていたが、やっと我々の前に戻ってきてくれた。

 

ベルキのロシアン1080°
高難度の技の途中も全身が一直線に伸びている(写真はあん部馬背ロシアン1080°転向;E)。

 

ベルキのあん馬はその長い手足を武器に、腰の高い旋回と雄大な体線で、観客だけでなく審判をも魅了する。重いはずの身体を演技の最後まで高い位置にキープし、高難度の技を繰り広げる。そして最後はまるで無重力であるかのように、なめらかに倒立に持ち込み余裕を持ってひねりながら移動し着地に持ち込む。

 

王者ベルキ (berki krisztián)
大きくて美しい。そこに理屈は要らない。

 

「Artistic Gymnastics」の「Art」とはまさにこのことを指すのだろう。満足な演技を終えた後のベルキには神々しさすら感じられる。

 

ベルキ金メダル
ベルキには金メダルがよく似合う。

 

それでいて大会後にはファンからの記念撮影の申し出に快く答える。我々の拙い英語にも丁寧に答えてくれた。肩の調子を尋ねると「かなり回復して調子が上がってきている」と笑顔で答えてくれた。表情からも好調ぶりが窺える。

 

王者ベルキ (berki krisztián)
ベルキは演技だけでなく笑顔でも我々を虜にする

 

4年後には35歳になるベルキ。「2020年の東京五輪には来てくれるのか?」の問いには「Maybe(おそらく)」と答えてくれた。

4年後の楽しみがまた1つ増えた。

 

【動画】 2016豊田国際 クリスチャン・ベルキのあん馬

 

TEXT : Masaru “TAROKEN” Maeda

About taroken

GymnasticsNews Radio Showのメインパーソナリティ、ライター。 学生時代に体操の選手の経験あり。体操ファン歴は中学生時代から。 静岡県体操協会男子3種審判資格あり。 ポッドキャスターとしては体操の他、Apple製品、IT関連、鉄道系の番組にも出演中。

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