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体操競技や選手に関わるコラムを更新していきます。

内村の10連覇を阻もうとした大学生四銃士

千葉健太 鉄棒

「4人がかりでも上2人を倒せなかったですね」 全日本個人総合決勝が終わった後、ミックスゾーンで谷川航(順天堂大)はこう話していた。 上2人とは1位の内村航平(リンガーハット)と田中佑典(コナミスポーツ)、4人とは内村・田中と同じ1組で回った白井健三、萱和磨、谷川航、千葉健太の大学生4人のことである。         白井健三はもはや体操界のみならず一般のお茶の間でも知られた存在で、昨年のリオデジャネイロ・オリンピックを始め数多くの世界の舞台で活躍している。自身の名前がつく技を世界一多く持っている。 萱和磨は2015年世界選手権代表にもなり、種目別あん馬で …

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王者の風格 〜 クリスチャン・ベルキ

王者ベルキ (berki krisztián)

全ての観客と選手及び関係者、報道陣が見つめる中、王者ベルキは雄大な開脚スイングから演技を開始した。       最初のセア倒立で片手がポメルから落ちてしまったが、落ち着いて戻し、振り下ろして身体を回し始める。     クリスチャン・ベルキは身長178cm。体操のトップ選手としては異例の体格ながら、2010年から2012年と2014年のオリンピック及び世界選手権で4度あん馬の金メダルに輝いている。 2015年の肩の手術後しばらくトップ戦線から離れていたが、やっと我々の前に戻ってきてくれた。     ベルキのあん馬はその長い手足 …

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決意 〜 リオ五輪団体金への道のり 決勝編

田中佑典

演技の直前、田中佑典はふと視線を右上にやった。まるで天井の向こうにある太陽に目をやったかのようにも見えた。あるいは田中には別の何かが見えていたのかもしれない。 平行棒を両手で掴み、何百回も繰り返した動きで倒立に持ち込む。これから、というその時、田中にしては珍しくバーを握り直した。ルールではこれで0.1の減点である。それを承知での握り直しに、わたしはこれまでとは違う何かを感じていた。     仕事と私用の忙しさもあったが、早朝からの男子団体決勝を生で見ようというモチベーションを失っていたわたしは、午後になって Yahoo Japan! のニュースで日本が金メダルに輝いたことを …

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30歳の再チャレンジ

ママジムナスト

16歳で全日本個人総合初優勝、史上3人目のNHK杯4連覇、2004年アテネオリンピック出場。このような輝かしい戦績を残しつつ、2009年の国体を最後に石坂真奈美は現役引退を表明した。石坂のNHK杯5連覇を阻止したのは後輩の鶴見虹子だった。     朝日生命で指導をしながら、2年ほど前から漠然と選手復帰は考えていた。背中を押したのは「ママはどうして試合に出ないの?」という6歳の息子の言葉だった。 東京で全日本シニア選手権が行われることを知り、それならばと7年ぶりに練習を再開したのは4ヶ月前のこと。仕事と両立させながらの練習は週に2〜3日、1度の練習で2時間が体力の限界だった。 …

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くずれた方程式 〜 リオ五輪団体金への道のり 予選編

加藤凌平のつり輪

わたしは宿泊先のホテルでふてくされたようにベッドに身を投げると、気持ちをねじ伏せるようにして眠りについた。起床予定は5時。すでに1時を過ぎていた。 リオ五輪男子団体予選で日本は4位通過というまさかの結果に終わった。 思い返せば予兆はあった。会場での通し練習で内村がゆかで背中から落ちる大過失。跳馬でも着地のミスがあり審判に好印象は残せなかった。山室はあん馬で、田中佑典も得意のはずの平行棒で落下。お世辞にも好調とは言えなかった。   それでもわたしは楽観視していた。国内の代表選考という厳しい戦いをくぐり抜けてきた4人と、それを率いる内村航平は、オリンピック本番では実力を発揮してくれると思 …

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異次元への挑戦2:男子跳馬種目別

シライ/キムヒフン

これまで見た3回宙返りの中で一番驚いたのは大学の頃。 どこかの体育館の片隅で、ごく内輪の宴会のような雰囲気で行われた大会の審判をやらされていた時に、東京の大学帰りという選手が行った鉄棒の3回宙だった。 こんな誰も知らない小さな大会で3回宙が飛び出すとは思ってもみなかった。   体操競技で初めて3回宙返りを行ったのは旧ソ連の故ニコライ・アンドリアノフである。1974年に鉄棒で発表された。その後、つり輪、ゆか、跳馬でも行われるようになり、屈伸やひねりを加えたものまで出てきた。 それでも4回宙は出なかった。旧ソ連だったかロシアだったか、鉄棒の4回宙返りを練習しているという話を遠藤幸雄さん( …

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異次元への挑戦:女子跳馬種目別

チュソビチナ

男女とも跳馬が他の種目と大きく異なるのは、1演技につき1つの技しか行わない点だ。そのため跳馬では技1つ1つにDスコアが付けられており、難度というものは存在しない。 ではその跳馬の技の中で最もDスコアが高い技は何か? シライ/キムヒフン?いやこの技はD6.0だ。実は今の男子跳馬の技の中では取り立ててDスコアは高くない。 リ・セグァン2?ロペスハーフ?どちらも男子跳馬では最高のD6.4だが、これらは「男女含めて」最高ではない。 実は男女含めてDスコアが最も高い技は女子跳馬のプロドノワ(前転とび前方かかえ込み2回宙返り;D7.0)である(日本時間2016年8月15日時点※)。 男子がやるとローチェと …

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ベルニャエフはコバチをできるようになったのか?

GymnasticsNews Radio Show

2013年4月7日、駒沢体育館の記者会見場は間延びした空気に包まれていた。 申し訳程度に集まった取材陣から出る質問は途切れ途切れで、その内容も型どおりのものに過ぎなかった。この優勝者に興味を持っている記者は、ここにはほとんどいないように思われた。 わたしは仕方なく積極的に手を上げて質問をつないだ。今回がプレスとして初めての取材で、よもやベテランの記者陣に囲まれて質問することになるとは思ってもみなかった。 正面に座っているのは今回のワールドカップ東京大会個人総合で優勝した19歳の丸刈りの青年、オレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)。出場予定だった内村航平は欠場し、オレグと同い年の加藤凌平が日本の看板 …

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選手とコーチの絆

植松鉱治

コナミスポーツ体操クラブでヘッドコーチを務める森泉貴博コーチはいう。 「身長もあって、体重もある選手というのは長く続けるのが難しいんです。肩とか腰をケガしやすかったり、痛める場所が多かったりしてしまうので。ものすごく力があるかちょっと小柄で体重が軽い選手は長持ちするんですけどね。日本の体操界の中では身長もあって体重もそこそこある選手なので・・・」 植松鉱治が引退した理由は年齢だけではなく、そういったこともあるのかもしれない、と分析した。 植松自身も「すごくお世話になった方」と語る森泉コーチ。「技術的な面でこういうふうに体操ってやればいいんやっていうのを教えてもらった」という。 “同期”でもある …

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受け継がれてゆく想い

2015年11月29日(日)、第69回全日本団体選手権大会。 体操の聖地、代々木体育館。 体操人生最後の演技に挑もうとしている植松鉱治がいた。 ふっとひとつ息を吐き、バーを見上げる。 得意種目である鉄棒に手を伸ばし、演技をスタートさせた。 徐々に旋回のスピードを上げ、高く飛んだ――。 いつもと変わらない、優雅で力強く大きな演技。 見る者を惹きつけて離さない。 離れ技を成功させるたびに大きくなる拍手と歓声。 あっという間だった。 23年間の体操人生を終える最後の演技は、まるで一瞬だった。 最後は伸身ルドルフ。 4年前、植松の体操人生に大きな影響を与えるケガの引き金となった技だった。 着地を終え、 …

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