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ドーハ世界選手権 男子団体決勝

2018年10月29日、ペルシャ湾を望むドーハ港から車で20分程のアスパイアドーム(ドーハ/カタール)で、世界選手権の男子団体決勝が行われた。

 

アスパイアドーム
ついにこの日が来た。男子団体決勝だ。

 

団体決勝は昨年までと異なり、同じ組となった2国の選手が一人ずつ交互に演技する形式で行われる。団体予選3位の日本は予選4位のアメリカと同じ組となるため、開始種目のあん馬では、日本1人目→アメリカ1人目→日本2人目→アメリカ2人目という順序で演技し、種目ごとに最初の演技者が交互に入れ替わる。

その他、予選1位のロシアと予選2位の中国がゆかから、予選5位のイギリスと予選6位のブラジルがつり輪から、予選7位のオランダと予選8位のスイスが跳馬から、それぞれ団体決勝の演技が開始された。

 

内村のあん馬
第1演技者は内村。手堅く決めて日本の士気を上げていく。

 

萱和磨のあん馬
あん馬のスペシャリスト萱も、予選の汚名挽回だと、内村の続く。

 

日本は予選で3人が落下したあん馬からのスタート。是が非でも落下を回避したい日本は内村航平(リンガーハット)を1人目とし、2人目の萱和磨(順天堂大)はブズナリ(F)を抜く安全策、3人目に谷川航(順天堂大)が演技し、無事にノーミスでここを乗り切る。この時点でロシアが1位、日本は5位。ゆかを苦手とする中国は日本の後塵を拝した。

 

ゾウ・ジンユァンのあん馬
チームにミスが出たが、その悪いムードをしっかり断ち切って見せたシャオ・ルーテン。

 

次のつり輪では内村の体力回復を考慮し萱→谷川→内村の順で演技。いずれも大きなミスなく、萱は下りで伸身新月面(F)、谷川航と内村は着地をピタリと止める。この時、中国とロシアはあん馬。あん馬はこの2国にとっても鬼門であり、予選で落下やミスが出ていた。決勝でも中国1人目のスン・ウェイが落下し、ロシアはナゴルニーが脚を開くミスを出した他、クキセンコフが下り技で3部分移動ができず難度を落としてしまう。

 

谷川航のブラニク
演技前にかなり待たされたが、谷川航のブラニクが決まった。

 

3種目目の跳馬は日本にとっては比較的、得点が稼ぎやすい種目だ。白井健三(日体大)がシライ/キムヒフン(D5.6)を決め14.966。2番手の萱がドリッグス(D5.2)で14.366。3番手の谷川航は、演技前に長い時間待たされたものの、ブラニク(D5.6)をまとめ14.800。この時点で日本は1位に立ちロシアとは約1点差、中国とは約3点の大差をつけ、日本陣営のムードは最高潮に達した。

 

内村の平行棒
チームにミスが出ると、内村はこれまでにないくらい丁寧な演技で流れを引き戻しに行った。

 

4種目目、中国とロシアは跳馬。中国は3人ともロペス(D5.6)を跳べる。ロシアも得点力がある種目だ。いずれもミスなくまとめて得点を伸ばす。一方、日本は平行棒。スペシャリストの田中佑典(コナミスポーツ)が1番手で登場し期待が高まるが、開始直後のヤマムロ(G)でバランスを崩し落下。やり直すも肘と腰が大きく曲がる結果に。得点は11.566となってしまう。その後、内村が丁寧な演技で14.500、谷川航が着地をピタリと止めて14.566と持ち直すも、この時点で日本は貯金を吐き出し3位に後退。ロシアが1位に返り咲き、2位中国との差は1点弱となる。

 

田中佑典の鉄棒
田中が得意の鉄棒で汚名挽回。

 

5種目目、日本は鉄棒。田中佑典が着地までそつなくまとめるものの、肩の怪我があり難度はそれほど高くない。14.233。白井は予選でミスが出たコールマンを抜いた構成でまとめて13.966。内村はコールマン(E)が遠くてヒヤリとしたが、しっかりとキャッチ。着地で両足で2回小さく跳んだものの14.400とまずまずの点だ。

 

ゾウ・ジンユァン
怪物ゾウ・ジンユァンの平行棒。1つ1つの技の高さと美しさがずば抜けている。

 

その時、ロシアと中国は平行棒。この種目が得意な中国はデン・シュウデイが屈伸タナカ(G)を見せ14.800、リン・チャオパンも15点台に乗せる。そして極め付けは怪物ゾウ・ジンユァンの登場だ。ソラキディス(前振り上がりマクーツ;G)に始まり、見たことのない高さのバブサー(E)に驚く。D7.0でE9.2を出し16.200という異次元の高得点だ。

 

ベルヤフスキーの平行棒
ロシアも平行棒は苦手ではない。ベルヤフスキー14.700の高得点。

 

一方ロシアはダラロヤンが上がり技の横向き逆上がり倒立4分の1ひねり(D)で落下。ベルヤフスキーとナゴルニーは14点台後半とまずまず。

 

白井健三のゆか
白井健三がゆかで高得点を出すが、この時点でトップ2国との差は歴然だった。

 

最終種目、日本はゆかだ。一番手の萱は14.300とまずまずだったが、2人目の谷川航が前方宙返りで後ろに手をついてしまう。ラインオーバーもあり12.866。最終演技者の白井は伸身リ・ジョンソン抜いたD6.8の構成で14.933とまずまず。これで日本は演技を終える。

 

ナゴルニーの鉄棒
けして鉄棒が苦手なわけではないが、最後の最後で悔しいミスが出てしまったナゴルニー。

 

その時、ロシアと中国は鉄棒でデッドヒートを繰り広げていた。中国はスン・ウェイがまとめるものの、2番手のリン・チャオパンがアドラーで戻ってしまうミス。さらにシャオ・ルーテンがリューキン(伸身トカチェフ1回ひねり;F)でまさかの落下。ここで勝負あったかに思われたが、ロシアの最終演技者ナゴルニーが、トカチェフハーフ(D)の後の車輪が倒立まで上がりきらず、腕を曲げてしまうミスが出た。

最終得点は中国が256.634、ロシアが256.585、わずか0.049の差で中国の逆転優勝が決まった。銅メダルの日本の得点は253.744と上位2国に3点近くの差がついていた。

 

男子団体決勝
金メダルは中国に、ロシアが銀、日本は銅メダルという結果になった。

 

記者会見で内村航平はこう語る。「東京オリンピックの出場権が決まったのは嬉しいが、これまで以上に高めるべきところは高め、変えるべきところは変えていかなければならない」

 

東京オリンピックに向けた新たな戦いが、ここから始まる。

 

TEXT : Masaru “TAROKEN” Maeda

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About taroken

タロケン:GymnasticsNews Radio Showのメインパーソナリティ、ライター。 学生時代に体操の選手の経験あり。体操ファン歴は中学生時代から。 静岡県体操協会男子2種審判資格あり。 ポッドキャスターとしては体操の他、Apple製品、IT関連、鉄道系の番組にも出演中。HP:タロケン.link

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