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【速報】ドーハ世界選手権 女子団体決勝

2018年10月30日(現地時間)、ドーハ(カタール)のアスパイアドームにて世界選手権の女子団体決勝が行われた。

 

世界選手権女子団体決勝
入場セレモニーではチームごとに撮り下ろしされた画像とともに各国チームが入場した。

 

男子と同じく予選の順位により割り振られた2国が1組となり、2国から1人ずつ交互に演技していく。そのため、以前に行われていた、種目ごとに前半と後半で国が入れ替わる方式よりも、その国の現時点での得点がリアルタイムでわかり、順位が把握しやすい。観客にとっても選手にとってもより白熱した試合となる。

日本は予選6位だったため、5位のブラジルと同じ組で平均台からのスタート、1位のアメリカと2位のロシアが跳馬から、3位の中国と4位のカナダが段違い平行棒から、7位のフランスと8位のドイツがゆかからの演技開始となった。

 

寺本明日香の平均台
持ち前の安定感を発揮して、鬼門の平均台を見事に乗り切った寺本明日香。

 

平均台は落下と背中合わせの種目だ。昨日の男子があん馬スタートで落下回避を最優先にしたように、日本女子もここは是が非でも落下なしで通過して勢いに乗りたい。

1番手を任された畠田瞳(セントラル目黒/日体荏原)は高校生で、世界選手権初出場ながら、安定度が高い。横向きの側宙(D)で腕を大きく回し、あわやという場面もあったが何とか落下は回避、着地もまとめて胸をなでおろす。次の寺本明日香(ミキハウス/レジックスポーツ)も実力を出し切った安定感のある演技。さらに下り技で得意の3回ひねりを決める。さらに村上茉愛(日体大)が完璧と言える演技でガッツポーズ。13.766の高得点をマークした。

 

ガッツポーズをする村上茉愛
平均台をノーミスで乗り切ってガッツポーズの村上茉愛。

 

この時点でアメリカはすでに2位の中国に3点の大差をつけて独走態勢。3位ロシア、4位カナダで、日本は1つ順位を上げて5位とした。

 

畠田瞳のゆか
段違い平行棒以外の3種目でトップバッターを務め、その役割を十分に果たした畠田瞳。

 

2種目目は日本がゆか。日本はここも3人とも大きくミスなくまとめるも、村上の演技がターンの角度不足などから予選よりDスコアを0.2低い5.6とされてしまった。Eスコアの減点も多く、予選の14.100から得点を下げて13.766となる。

 

バイルズ
バイルズ率いるアメリカは、完全に独走態勢。

 

この時、中国は平均台で2人落下が出て順位を落とす。カナダも段違い平行棒で落下があり、2位ロシア、3位中国、4位フランス、5位ドイツ、6位日本となる。アメリカはすでに2位以下を大きく引き離し、1位から下がることはまず考えられないという得点だ。

 

畠田瞳の跳馬
跳馬でもまずまずの出来栄えを見せた畠田瞳。

 

3種目目は日本の得点源となる跳馬。ここまでずっと1番手を任されている畠田は、ここでも手堅く伸身ユルチェンコ1回半ひねりを決めてまずまずの出だしだ。この後の寺本と村上で大きく得点を伸ばして順位を上げたい。

しかしここで寺本に心に異変が起こった。練習会場のロイター板と、試合会場のロイター板の硬さがまったく違うのだ。会場練習の時からそれで調整に苦労していたのだが、どうも会場やその日によって新しいロイター板だったり使い込んだロイター板だったりと、ロイター板の質が変わるようで、それに戸惑い演技直前の確認の跳躍が十分できなかった。

畠田や村上を始め、海外の選手も含めて多くの選手がロンダートでロイター板に着地し、その反動を利用して後転とびから宙返りする。助走で作った水平方向の運動エネルギーを、ロンダートで縦方向下向きの運動エネルギーに変換し、そのエネルギーを両脚に乗せてロイター板を押す。押されたロイター板は跳ね返り、跳ね返った運動エネルギーを選手の両脚が受け取って、選手はそれをうまく跳躍に生かして高難度の技にする。

そのためロイター板を「蹴る」というよりも、ロンダートで、ロイター板のいい位置に「着地する」ことがより重要になってくる。

それに対して寺本が実施する技は助走から前向きにジャンプし直接、ロイター板を蹴って高さを作る。そのため、うまく「蹴り」ができるかどうかが演技の上で重要なポイントとなってくる。

 

寺本明日香の跳馬
調整が十分にできないながらも果敢に跳馬に挑んだ寺本だったが。

 

「案の定」(寺本)蹴りが合わず、突き手が十分に入らずに、抱え込みになってしまった。チュソビチナ(前転とび前方伸身宙返り1回半ひねり;D5.8)の難度が認められない上に減点も大きく、予想した点よりも2点程度低い12.700という結果に。真っ先に浮かんだのがチームメイトの顔だ。いい流れを自分が壊してしまった。チーム戦では自責の念に苛まれると、ベテランの寺本ですら、気持ちを切り替えるのは容易ではない。

次の村上は伸身ユルチェンコ2回ひねり(D5.4)を成功し14.600。しかし寺本は、自責の念から気持ちを切り替えられないまま、次の段違い平行棒を迎えてしまう。

 

ブラジルの跳馬
持ち前にバネを生かして、跳馬で得点を伸ばしたブラジル。

 

キム・ブイ
この時点では日本よりも上位にいたドイツだったが(写真はキム・ブイ)。

 

ムスタフィナ
最初こそ中国を下回ったロシアだったが、2種目目で逆転すると最後までその地位を譲ることはなかった(写真はムスタフィナ)。

 

この時点でロシア2位、跳馬を得意とするブラジルが3位に躍り出た。フランス4位、ドイツ5位、日本は6位のまま。ゆかの得点力に欠ける中国が7位に転落したが、次の跳馬で巻き返してくることだろう。

 

村上茉愛の段違い平行棒
段違い平行棒のトップバッターを務めたのは村上茉愛。

 

最終種目、日本は段違い平行棒。この種目だけは、得意とする畠田が最終演技者となり、村上から演技を開始する。倒立で反対側に倒れそうになる危ないシーンもあったが、何とか切り抜けて無難にまとめる。次は寺本の番だ。直前のブラジルの選手の採点に時間がかかり5分近く待たされた。「返って気持ちが落ち着いた」(寺本)が、それでも平常心とはいかなかった。屈伸イエガー(E)、トカチェフ(D)とこなしたが、ここまでくれば大丈夫かと思ったところで、開脚イエガー(D)で右手がバーをつかみ切れなかった。落下こそしなかったものの、動きが止まり大幅な減点は避けられない。これまで出たことのないミスだった。

 

畠田瞳と梶田凪
段違い平行棒の演技を終えると、畠田は感極まって梶田凪と抱き合った。

 

最後の畠田は父親譲りのシュタルダートカチェフ(E)も難なく決めて13.866とまずまずの点。これで日本の演技は全て終了した。

この間、平均台でドスサントス(フランス)とシェダー(ドイツ)が落下、ブラジルも落下と細かなミスが出る一方、予想通り中国が跳馬で得点を伸ばした。

 

女子団体決勝メダリスト
アメリカが金、ロシアが銀、中国が銅メダルを獲得した。

 

最終順位は1位アメリカ、2位ロシア、3位中国となりここまでが東京オリンピックの出場権を確定。以下4位カナダ、5位フランス、6位日本、7位ブラジル、8位ドイツという結果となった。

 

エルザベス・ブラック
ブラック率いるカナダは4位と力をつけてきた。

 

ドスサントス
フランスも5位となり、上位常連の位置を確かなものにした(写真はドスサントス)。

 

しかし2位のロシアから6位の日本までの点差は2.6点。届かない点数ではない。

また東京オリンピックの出場権はお預けとなったが、来年のシュツットガルト世界選手権の団体予選で、今回3位までのアメリカ、ロシア、中国を除いた上位9カ国に入れば出場権は得られる。

それは今の日本女子には難しくない目標だろう。

 

TEXT : Masaru “TAROKEN” Maeda

About taroken

タロケン:GymnasticsNews Radio Showのメインパーソナリティ、ライター。 学生時代に体操の選手の経験あり。体操ファン歴は中学生時代から。 静岡県体操協会男子2種審判資格あり。 ポッドキャスターとしては体操の他、Apple製品、IT関連、鉄道系の番組にも出演中。HP:タロケン.link

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