9月2日、味の素ナショナルトレーニングセンターで、世界選手権代表選手およびアジア大会代表選手の試技会が行われた。

試技会は世界選手権代表選手、世界選手権リザーブ選手、アジア大会代表選手の3グループがローテーションして6種目演技する形式で行われ、世界選手権代表選手は団体予選を想定し、ゆかからのスタートとなった。

取材陣と関係者だけが見守る中、試合を想定した構成で演技し、審判による採点も行われる。
その採点は試技会と言えど手加減など微塵も感じさせず、ミスはミスとしてしっかりと減点される。
アジア大会代表選手の演技はEスコアとDスコアを公表するが、世界選手権代表選手については、ライバル国対策のためEスコアとDスコアの内訳は取材陣にも明かせないという。

そういった厳しさの反面、日本製の器具で演技するか世界戦と同じ海外製の器具で演技するかは選手の選択に任されている。それに合わせて審判団が、時には会場の端から端まで移動し、立って採点する場面もある。
また自身の演技が終わった後に他のグループの選手と笑顔で言葉を交わしたりといった、リラックスムードも時折かもし出す。

このような試合とも練習とも異なる一種独特なムードの中、おおよそ2時間にわたって試技会が行われた。
内村航平(KONAMI)はコンディションも良く、つり輪以外で15点台をマークし6種目合計で92.600という高得点を叩き出した。
田中佑典(KONAMI)は得意の鉄棒で16.000を出し、その他の種目でも安定した演技で合計90点台に乗せた。
また亀山耕平(徳州会)は得意のあん馬で危ない場面が見られたものの、落下することなく予定の演技を通しきり、ゆか以外の5種目をこなして見せた。

全日本シニア選手権に向けて調子を上げる社会人と対照的だったのが、インカレの疲れが残る加藤、野々村の大学生だった。
インカレの個人総合決勝を棄権し、その後も「ほとんど練習できてない」という野々村は鉄棒で2度の落下、加藤は跳馬でロペスを失敗しかかえ込み宙返りになるなど、本調子とはほど遠い。
しかしそんなコンディションの中でも野々村が得意の平行棒で最高得点の15.500を出したり、加藤がゆかでシライ2(前方宙返り3回ひねり)を実施したりと、その力を垣間見せていた。
次回の試技会では本来の力を見せてくれることだろう。

また唯一の高校生、白井健三は得意のゆかで16.300をマークしたのを皮切りに6種目で安定した演技を行い、鉄棒の下り技ではF難度のフェドルチェンコを実施するなど成長を見せた。

試技会の終了後は各自で反省練習を行ったり、種目別用の演技構成を通すなどの時間も取られた。
亀山耕平はG難度のブズナリを入れたDスコア7.2の演技構成に取り組んでいた。
また「航平さんに教えてもらった」という白井健三は、跳馬でリー・シャオペンに取り組むなど、さらなる新技への挑戦も怠らなかった。
全日本シニア選手権後にもう一度、試技会が行われるという。次の試技会が楽しみである。

TEXT : MASARU “Taroken” MAEDA